BlackFriday期間だからこそ、頭を冷やす
11月末のブラックフライデーやセールの時期になると、DTM系のYouTuberがこぞってオススメのプラグインの特集を始める。
もちろん人によって必要なものを買うのはいいと思う。ただ、その狂騒的な雰囲気に乗せられて、必要のないものまで買ってしまうことも。これは少し頭を冷やした方がいい。
某シンセの割引セールを紹介する動画。「音の選択肢が増えるので、絶対に買っておいた方がいい」とか言っているYouTuberの言葉は、悪魔のささやきに近い。
デスク周りの環境についても同じだ。
メチャクチャよい机、モニタースピーカーにオーディオインターフェイス。これらをそろえたからといって、よい曲が作れるのか。
これらの問いに対する答えは、一部はそうであるとは言える。が、メインはあくまでも曲そのもののクオリティだと自分は考える。
まずは「よい曲」ありき?!
よい曲かどうかの判断に音源やらミキシングの果たす役割は、全体の半分には満たないと思っている。もちろん曲のジャンルにも寄るが、半分以上だという意見もあろう。
必要条件ではあるが、絶対条件ではない。それよりも大事なのは曲そのもの、ソングライティングの部分だろうと個人的には思う。
アンチテーゼとしてのグライムス ~曲作りは床でやる
一方で、「よい曲をつくるには、音源やプラグインはたくさんあった方がいい。もちろん、制作環境も整っていた方がいい」という考え方はあるだろう。まあ、こちらの方が多数派か。
そのアンチテーゼとして、まっさきに思い浮かぶ人がいる。ダンスポップの分野では、あるていどの知名度のあるグライムス(イーロン・マスクの元嫁さん)である。
彼女が出ているMacBookのCMを見てほしい。
Behind the Mac — Grimes
ここで彼女は「場所に縛られたくないので、曲作りは床でやる」と言っている。
キレいに整ったデスクのDTM環境を紹介する人たちが多い。そんな中、彼女はMac1台とmidiキーボードのみで床に座ってやる。CM用にいくらか誇張した演出なのかもしれないが、自分としてはカッコよく見える。
直近の彼女の制作環境は知らないが、以前、サンレコの表紙になった時点ではメインのDAWはガレージバンドだと言っていた。制作環境も機材も選ばない、よい例かと思う。
余談だがグライムスは変名のDJユニットで2023年のソニックマニアに来日し、フロアではイーロン・マスクの目撃情報もあった。踊るイーロン・マスクとかちょっと見てみたかった。
限られた環境、音源で曲づくりするのもそれはそれでよい
個人的には、こちらの姿勢(ショボい環境で、カッコいい曲をつくる)に深く共鳴する。
あと以前にも書いたが、YOASOBIのAYASE氏もこのスタンス。NHKのDTM番組において、メインのPCにMIDIキーボード、オーディオインターフェースすら繋いでいないと言っていた。で、リビングのテーブルなど、家の中を気分で移動しつつやっていると。
あなたの制作環境や持っているプラグインの少なさをバカにしてくる人がいたら、このグライムスやAYASEの例を教えてあげてほしい。
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