わたし自身、DTMをこれから始めたいという方の相談に乗ることが多い。何の機材を買えばいいのか、DAWは何がいいのかなど。
以前にも書いたが、体感として3か月以内で辞める人は8割、1年持たずに辞める人が9割以上と言えるだろう。個人的にその理由について考えてみる。
2 まぁまぁお金がかかる
3 やることが多くて、習得のハードルが高い
最後に「こんな人はDTMに向いている」という私見も書いていければと思う。
1 DTMという趣味の特殊性(楽しめるまでに時間がかかりすぎる)
DTMを始める上で、まず知っておかなくてはいけないことがある。それは、他の趣味とは性質が異なること。
「DAW操作スキル、作曲スキル習得の時間が必要」と「高頻度かつ継続性が必要」の2点は知っておかなければならない。
(1)DAWスキル、作曲スキル習得の時間が必要
1 DAW操作習得
2 作曲スキル、ミックス・マスタリングスキルの習得
3 作りたいジャンル特有の打ち込み方法の習得
これらの工程は人によってはダルいと感じる人も多いだろう。
YouTube等の映像でDAWを自在に操って作曲をしている人の映像を見たことのある人は多いと思う。
メチャ楽しそうであるが、その状態まで行くのには時間がかかるということである。
あまり語られることはないが、機材・プラグイン情報のインプット、曲の構想を考える時間などもかかる。
(2)高頻度かつ継続性が必要
2 まぁまぁお金がかかる
かかるお金の例
① PC、DAWの購入費用
② DAWのアップデート費用
③ サードパーティ製プラグインの購入費用
④ DAW操作法や作曲などを教わるのであれば、その費用
⑤ 音源(サンプルパック)の購入費用
⑥ 音源サブスクサービスの月々の費用
⑦ 機材費(オーディオインターフェイス、入力用MIDIキーボード、ヘッドホン、スピーカー等)など
⑧ デスク周り、椅子、防音対策の費用
⑨ サブスクに自分の曲を置いておくなら、その費用(アップする費用、年間維持費)
⑦の機材費は削れるところといえばそうだが、続けていくほどによいものが欲しくなってしまうものだ。また③~⑨も部分的に削れるだろう。
DTM界隈の波に飲み込まれて、必要でないプラグインや、その時のレベル感に合わない機材まで買ってしまうのが、一番バカバカしい。
これを書いているわたしの場合は下記。
① 直近でMacbook Airを購入(14万くらい)
② Logic Proを使っているので0円
③ 月に1万円までと上限を決めている
④ how to系動画のsonic academyに1500円/月ほど課金
⑤ 以前はよく買っていたが、いまは買っていない
⑥ spliceのみ毎月1000円課金
⑦ スピーカーは持たず、主にリビングのテーブルでやっている
⑨ 現時点で2曲サブスクに置いているが、年間の維持費を払うのが嫌で登録時のみ課金のサービスを利用(1曲1000円程度)
フィネアスが使ってるコンデンサーマイクは?
雑誌なりYouTubeの動画なりで、高い機材を勧めるコンテンツは多い。
DTMを始めたばかりの段階で、10万円を越えるオーディオインターフェイスもマイクも必要ないだろう。ここは割り切って、自分のペースと予算の範囲内でやると決めるべきだ。
フィネアス(ビリー・アイリッシュのお兄ちゃん:作曲担当)がメインで使ってるコンデンサーマイクが何か知ってるだろうか?
オーディオテクニカの1万円くらいのやつである(Audio-Technica AT 2020)。これでグラミー賞が取れてしまうわけだ。
マネをして同じものを買ったのだが、わたしのような初心者レベルには十分すぎる。コンデンサーマイクはこれしか持ってないので他と比べようがないが、とんでもないレベルの音を拾う。
クラシックなど生の楽器主体の録音をするならもだしも、ポップスやロックのボーカル録音では、そこまで差は出ないのではないだろうか。
3 やることが多くて習得のハードルが高い
習得が必要なことの一例
・DAW操作
・作曲スキル
・MIXの概念とスキル
・マスタリング手法
・個別のプラグインの操作
・作りたい音楽、または楽器特有の打ち込みスキルの手法
・曲によっては楽器演奏
・曲によっては録音の手法
・ダンスミュージックをつくる場合は、シンセサイザーでの音作りの基礎
「DTMはやめとけ」はこんな人
名を上げるためにDTMをやりたい、モテるためにDTMをやりたいといった人たちである。わたしも男性なので、もちろんその気持はわかる。
ただ、これほど時間と費用対効率の悪いことはないので、止めておいた方がよいと思う。この記事で筆者が「DTMはやめとけ」と言うとすれば、このタイプの人だろう。
同じ音楽なら、何かしらの楽器を弾けるようになりバンドをやる、アコギやピアノで弾き語りをやる、DJをやるといった方がおそらくは効率的だろう。おまけに結果にも繋がりやすいと思う。
* あくまでもこのタイプの人に向けた話であって、バンドや弾き語りをやっている人をディスってるわけではない。
最後に対策を一応書いておく。これもすでに書いてきているが、誰かに習うというのが一番よい。お金は独学よりもかかるが、これが一番脱落しない方法のように思う。
逆に「DTMをやってもよい人」は?
・とにかく自分の表現を形として残したい
・すでに頭の中で、オリジナルの音楽が鳴っている
・一定の額は、お金を費やすことができる
・地道にやっていく作業が苦にならない
・少しずつ上達している実感が得られることを趣味にしたい
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