DTMerが佐村河内守から学ぶこと

数年前(もう10年くらい前?)、世の中を騒がせた佐村河内守を覚えているだろうか?
こんなこと書く人はいないだろうけど、DTMerが彼から学んだ方がよいことについて、まとめていく。

■ 一般の人の「佐村河内守」に対するイメージ

佐村河内守の印象を聞いたとしたら、みなさんはどう答えるだろうか。
一般の人の印象としては「耳が聞こえない音楽家を装った詐欺師」になるのではないだろうか。

ゴーストライターとして音楽をつくっていた新垣氏が出てきたことで、肝心の音楽もまったく作っておらず、彼自身は作曲もなにもまったくできないと思われている方が大半かと思う。
ただ、ちょっと待ってほしい。

細かいところをよくよく見てみると、DTMerにとってはいくつかの学びがある。

■ 学びその1 曲全体の構成を決めている

彼のドキュメンタリーを見たことがある(記憶があやふやだが、おそらくスキャンダルが明るみに出る前のもの)。

その映像の中で紹介された彼のノートがある。彼自身は手書きにて、詳細な曲全体像の原型となるものを作っていた。

たとえるなら、DAW画面を紙に起こしたようなもの。曲の全体の構成や展開、トラックごとのオートメーションなどが描かれていた。あとからの目線だと、新垣氏への指示書だったのだろう。

つまりは彼の頭のなかでは、音楽が鳴っていたということだ。

ここまで緻密な設計書を書くかどうかは置いておくとして、個人的にはこの工程が作曲のなかでは一番重要かと思っている。そして作曲はこの時点から始まっている。

わたしが長らく、1つも曲を完成させることができなかったのは、1曲全体のイメージを自分で持てていなかったことが大きいのかと思う。その都度、手癖で音を重ねて8小節の長さの曲の断片らしきものは作れたとしても、そこから1曲に持っていくことはできなかった。

■ 学びその2 演出の巧みさ

あと特筆すべきは、自身のコンセプト立てと、そのための演出手法のインパクト。

・ミュージシャンなのに耳がほとんど聞こえない
・長髪、サングラスのミステリアスな雰囲気

「ミュージシャンなのに、耳が聞こえない」という設定は、だれもが知るベートーベンとイメージが被る。あえて、イメージを大作曲家に寄せたのだろう。実はふつうに耳が聞こえていたのでは?といった議論があるが、そこは問題ではない。

あくまでも演出の一環、キャラづけの範囲内だろう。

■ 学びその3 プロジェクトマネジメントの手腕

あと忘れてはいけないのが、もう一つ。どういった経緯でゲーム『鬼武者』の音楽を請け負うことになったのかまでは知らないが、事実として仕事として受注し、きちんとしたものを納品しているということである。

わたしを含む多くのDTMerは、音楽でなにもお金になる仕事をしていない(できていない)だろう。そんな人たちは彼を叩いてはいけない。というか叩く資格がない。

唯一のミスは、共同制作者としてクレジットに新垣氏の名前を入れておかなかったことくらいではないか。

新垣氏自身は非常に才能のあるミュージシャンであり『鬼武者』の音楽は素晴らしいと思う。が、これは新垣氏一人での手柄とも言い切れないだろう。

彼がミュージシャンとして再起を図っているというネット記事を少し前に読んだ。彼自身で打ち込みにもチャレンジしているとのこと。

いつか彼自身の音を聞けるのをわりと楽しみにしている。

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